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 「……今は特殊な立場だから集落を出るのは難しいが、
  その内きっと外にも出られるようになるから。
  その時に困らないためにも頑張って勉強するんだ」


遼の話に夕貴は苦笑してみせた。

夕貴
 「外か……本当に僕はいつか出られるのかな?」



 「もちろんだ。決まっているだろう」


こんな排他的な村のこんなおかしな祭祀のあり方などは、
遼がいずれ変えるつもりでいた。
いずれ神代が宮司の座を遼に譲ることは間違いない。
神代だって永遠に生きているわけじゃない。
そうなったら、もうこんな軟禁状態の暮らしなんて止めさせる。


 「絶対に俺が外へ連れ出してやるよ」


遼は力強く言う。

夕貴
 「……そうなればいいね」


夕貴はそう言うと微笑んだ。
どこかもろく、今にも消え去ってしまいそうな笑顔。
この儚い笑顔を遼は守るつもりでいた。